話し方の極意は「歌うこと」で身につく
先日レッスンの合間にふとあるニュース番組を観ていましたら
今、話し方のスキルを向上させたい方が増えている
という内容について話し合われていました。
「話し方に自信がある?」という世間でのアンケートでは
「自信がある」と答えた方が13パーセント、
残りの87パーセントが「自信がない」と答えたということです。
対象が何であっても「自信があるか?」と尋ねられたら
いえ、そこまでは・・・^^;と謙遜してしまいそうですが(笑)
それでもやはり、真剣にもっと話し方を改善しなくては!
と思われている方は多いようで、
話し方に関する著書がたいへん売れているようです。
私自身も最近本屋さんの売れているベストランキングに
話し方に関する本が置いてあるのを目にしたことがあります。
たしかに、話し方というのはその人の表現能力のひとつであり、
もっとスケールを大きくすれば、その人の存在能力ともいえるでしょう。
けして饒舌であればいいとか、面白くなければならないとか、そういうことではなく
「その人そのものの表れるところ」ということ。
たとえば、ファッションがそのものを創った人、
そのものを身につける人の表現作品だとすれば、
話し方はあらゆる人に与えられている表現作品だと言い表すことができる。
つまり、話し方にはその人の"個性"が反映されずにはいられないのです。
番組で紹介されていた「話術の極意五カ条」をメモしてみました。
●聞き上手=話し上手
●内容より、「声」、「表情」、「動き」
●心地よい距離での会話
●自分なりの決まり文句を持つ
●上手すぎはNG、ときには沈黙も大切
なるほど^^、と初心にかえるつもりで見ていました。
すると、あることに気がつきました☆
特に上の3つについてですが、
これは歌を学べばマスターすることができるんですね^_^♪
まず、聞き上手=話し上手についてですが、
これは正しくは「聞く」ではなく「聴く」の字を使って
聴き上手=話し上手と書くほうがいいでしょうね^^
相手に心を傾けて聴くことを「聴く」と書きます。
相手に心を傾けて相手の話を聴くことがもっとも大切です。
でも、なかなか「さぁ!相手の立場になって、
相手になったつもりで、心を傾けて相手の話を聴きましょう!」
なんて言われても、ほんとうにそのとおりにできるでしょうか?
そこで、私は歌を歌われることをお薦めいたします。
演奏音楽に耳を傾け、いろいろな楽器の音を聴くことができ、
そして、聴いてくれる相手に心を配らなければ良い歌は歌えないからです。
細部にまで耳を傾け、細部にまで心を配り
歌うことができれば、ほんとうの聴き上手になれると思うからです。
次に、内容より、「声」、「表情」、「動き」についてですが
こちらも歌を歌われることで体得されることをお薦めいたします。
内容よりも、声そのものや
その人の表情、動きといった見た目のほうが大切だという考え方は
メラビアンの法則でよくいわれているものです。
想像してみてください。
学校で人気のある先生は、
声が大きくて、明るくて、よく通って、優しかったりしませんでしたか?
表情が豊かで、笑っている顔が思い出せたりしませんか?
いつもみんなの言うことに大きいリアクションで返してくれたり、
はたまた動きが粋で紳士で上品だったりしませんでしたか?
いい話だなぁ・・・という想い出は
話してくれた人の話の内容を、その人の声のトーンや話し方、
その人の表情や動きとつなげて覚えているものです。
たとえば、声が小さくて、表情も暗くて、
ずっと下を向いているような人に
いい内容の話しをされても心に残らないのと同じです。
相手の心に残るように歌は、
これらすべてがその人らしく表現されるからです。
普段話をするときよりも、より高い声、低い声、
トーン、リズムや間、ステージでの見せ方、演奏音楽との協調性など、
たくさんのことを受けて声表現をする歌こそ、
心からお薦めする良い教材だと感じています。
最後に、心地よい距離での会話についてです。
こちらも非常に大切なコミュニケーションスキルのひとつですね。
たとえば、こういったケースを想像してみましょう。
それほど広くない職場のフロアで
上司と部下との距離が30センチ弱しかないのに
何十メートルも向こうにいる同僚みんなに
聞こえるような大きな声で上司が部下にガミガミと怒っているというシーン。
これは明らかに見せしめのような状態ですね^^;
この上司の目的は、部下に聞こえるようにというよりも
職場にいる人全員に聞こえるようにという意思が伝わってきます。
ちょっと切ない例を挙げてしまいましたので、
今度は微笑ましい例を^^
たとえば、こういうケースもあります。
ある男性がお花屋さんでアルバイトをしている女の子に恋をして
足しげくお花屋さんを利用しています。
今日もふと店先を通りかかったら、
その女の子が出てきて目の前に。
「あ、おはようございます^^今日も暑いですね」と声をかけられました。
すると、びっくりして、つい大声で(応援団長並みの声で)
「はははい!!暑いですねっ!!」と答えてしまって
その女の子はちょっと耳をかばうようなしぐさを・・・
自分でも自分の大きな声にびっくりして
「すすす、すみませんっ!!」と真っ赤になる男性。
周りから見ていても鈍感な方でなければ、
男性の女の子に対する淡い想いに気がつくことでしょう。
以上のように、声には相手との距離感、
相手への意思が反映されます。
このちょっとした距離感を間違えてしまうと
なんだかうるさい人だなぁ、と疎まれてしまったり
ちょっと消極的な人だなぁ、と感じられてしまうということになります。
それに比べて、一緒にいて心地よい人というのは
立っている場所だけではなく、
話す声が相手に伝わるまでの距離感覚が
優れているということだと思います。
自分の声が相手にどう届いているかに気を配れる方は
その独特の感覚が身についていきます。
「歌はだれかのために歌う」ということを前提にしています。
自分のために歌う。
目の前のひとりのために歌う。
たとえば、子供のために歌う(子守唄)。
お母さんのために歌う(肩たたきの唄)。
たくさんの人の前でみんなのために歌う。
学校でみんなで歌う校歌。
クリスマスに教会で歌う聖歌。
ライブで聴きにきてくれた人のために歌う。
こうしたそれぞれのシーンで、
相手との心の距離感覚が磨かれていくことでしょう。
・・・気がつけば、今日のブログはけっこうな超大作になりました。
これも、情熱、心の距離感の表れなのでしょうね^_^*
何かを通して何かを学ぶことの素晴らしさを
お伝えすることが私の喜びです。
2008.10.05 | 声について想う
