久佳乃Blog

日常

自然を愛す 2009

11月末に信州から収穫してきたリンゴが
ひとつひとつ、皆さんのお手元に届いてゆきます。

皆さんからの「美味しかった!」
「すごく甘くてびっくり!!」なんてお声を聴くとほんとうに嬉しくて、
この言葉をそのまま信州でリンゴを育ててくださっているご夫婦に届けたくなります。

毎日毎日暑い日も、寒い日も
リンゴの木が並ぶ畑に足を運んでいるご夫婦。
その行動こそがこんなにも美味しい果実となって木に実るのですね。

「来年も、ぜひよろしくお願いいたします!」
と言う私たちに
「みんな、そうやって言ってくれるんだけれども、膝が悪くなっちゃってねえ。
 がんばれるだけがんばってみるけれども」
と足をさすりながらも、歩くたびに一本一本のリンゴの木に触れるご主人を見て
ああ、この方はリンゴを育てることがほんとうに好きなんだなあ、と
切なさで胸がきゅうんとなりました。

私の祖父も祖母も農業の人でした。
毎日畑に入り、田んぼの様子を見ては動き、太陽が空にある間は
いつも外で身体を動かしているような二人でした。
会社員の方に比べたら、現役時代が長かったかもしれませんが
だんだん身体が思い通りに動かなくなることで
自分の思うような仕事ができなくなっていくことを
少しずつ受け入れていく時間が祖父と祖母にはあったのだと思います。

苛立ちや悔しさみたいなものはなかったように思います。
一生を自然を相手に仕事をしてきた二人ですから
自然とはこういうもの、と身体でわかっているのです。

生前に祖母がこんなことを言ったことがありました。

毎日一生懸命に畑を耕しているから、
早く仏様に迎えに来てもらいたいと思っている。

私は驚きました。
おばあちゃんがこんなことを思いながら、毎日を過ごしているのだなんて。
私にとって、おばあちゃんはおばあちゃんでした。
でも、違うのですよね。
おばあちゃんにとって自分自身は、少女のときと何も変わらない
私と同じ、いろいろと思い悩んだりするひとりの女の子なのです。

おばあちゃん子だった何も知らない私は
「そんなこと言わないで。
 おばあちゃんにはもっともっと長生きしていてほしい」と言いました。

すると、おばあちゃんは

ありがとね、でもね、おばあちゃんはできれば
畑を耕している間にそおっと
仏様が迎えに来てくれたらいいなと思ってるんだよ。

当時の私にはそれがとても悲しく感じられましたが
おばあちゃんがそれが一番幸せだと思うのなら
神様がほんとうにそうしてくださったらいいのにとも思いました。

祖父と祖母のほんとうの心中はわかりませんが
身体が思うように動かなくなってからも
毎日畑や田んぼが見渡せる自宅の庭のベンチに
腰をかけて緑を眺めている祖父や
できることだけでもする、と畑へ出て行っては
思い通りに仕事が片付かないことに呆然とする祖母を観て
おじいちゃんはおじいちゃんの人生を
おばあちゃんはおばあちゃんの人生を
歩んでいるのだなと子供心に思ったものです。

自然は美しいですね。
そして、厳しいですね。
永遠のようでもあるし、限りがあるようでもあります。

思い通りにならないからこそ、挑戦する価値があり
向上心を沸き立てる力になることを
信州の大自然で学ばせていただいています。

そんな自然に育まれるように生きてこれたこと、
今になって心から感謝しています。

2009.12.18 | 日常


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